■腕立て伏せが効果のある筋肉部位
●大胸筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:だいきょうきん
英語名称:pectoralis major muscle
部位詳細:
上部|中部(内側)|下部起始:
鎖骨の内側|胸骨前面第2~第6肋軟骨|腹直筋鞘前葉停止:上腕骨大結節稜
●三角筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:さんかくきん
英語名称:deltoid muscle
部位詳細:
前部|中部(側部)|後部起始:
鎖骨外側前縁|肩甲骨肩峰|肩甲骨肩甲棘停止:上腕骨三角筋粗面
●上腕三頭筋の英語名称・構造・部位詳細・起始停止

読みかた:じょうわんさんとうきん
英語名称:triceps
部位詳細:
長頭|外側頭|内側頭起始:
肩甲骨関節下結節|上腕骨後面|上腕骨後面停止:尺骨肘頭
腕立て伏せは大胸筋を中心として、三角筋や上腕三頭筋などの上半身の押す筋肉グループ全体に効果があります。このほかにも、大胸筋周辺のインナーマッスルである小胸筋や前鋸筋にも効果があるほか、背すじを伸ばした上体を保つ必要があることから、腹筋群や長背筋群などの体幹インナーマッスルも同時に鍛えることが可能です。
▼さらに詳しい筋肉の名称と作用
【筋肉名称完全版】部位ごとの名前・作用と鍛え方を詳しく解説■腕立て伏せの正しいやり方・フォーム
●手首が肘の真下になるように構える
大胸筋の自重トレーニングの基本となるのが腕立て伏せは、簡単なようできちんとしたフォームで行わないと、あまり効果が得られません。まず、背筋を真っ直ぐに保ったまま動作するのが最大のポイントで、腕を押し出すと同時にやや顎を引くように意識すると大胸筋が完全収縮します。なお、お腹や腰は突き出さないように気をつけてください。
また、手幅は肩幅よりやや広く構え、常に手首が肘の真下になるように行うのが正しいフォームです。腕を押し出しながら息を吐き、身体を下ろしてから息を吸うようにすると、効率的に筋肉を鍛えることができます。
・動作の手順とポイント
①床にうつ伏せになり、背すじを真っ直ぐにし、肩甲骨を寄せ、手幅を肩幅よりやや広くして構える
②手首が常に肘の真下になるように注意し、背中を丸めたり、お腹を突き出したりせずに身体を下ろす
③身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま腕を押し出し身体を上げる
④身体を上げたら、顎をやや引いて大胸筋を強く収縮させる
・腕立て伏せの呼吸方法
腕立て伏せの呼吸方法の正しいやり方は以下の通りです。
①構えたら息を吸って胸にためる
②身体を下ろす
③息を吐きながら身体を押し上げる
■腕立て伏せの回数設定

筋肉を構成する筋繊維には主に三種類があり、それぞれの特性は以下の通りです。
●筋繊維TYPE1(ダイエット筋トレ)
60秒以上の持久的な筋収縮を行う筋繊維で、遅筋・SO筋・赤筋などとも呼ばれます。20回以上の反復動作で限界がくるようなトレーニングで鍛えられ、鍛えると筋密度が向上して引き締まります。
●筋繊維TYPE2a(細マッチョ筋トレ)
30秒前後の持久的で瞬発的な筋収縮を行う筋繊維で、速筋・FO筋・白筋などとも呼ばれています。15回前後の反復動作で限界がくるようなトレーニングで鍛えられ、鍛えると筋密度が上がりながらも筋肥大もします。
●筋繊維TYPE2b(バルクアップ筋トレ)
10秒前後の瞬発的な筋収縮を行う筋繊維で、速筋・FG筋・白筋などとも呼ばれています。10回前後の反復動作で限界がくるようなトレーニングで鍛えられ、鍛えると強く筋肥大します。
このことから、筋肥大目的の場合は10回前後の反復で、細マッチョ筋トレやバストアップ筋トレの場合は15回前後の反復で、二の腕引き締めダイエットとして行う場合は20回以上の反復で限界がくるように負荷を調整してください。
負荷調整は、主に動作スピードによって調整できますが、通常の腕立て伏せでは負荷が強すぎる方や、負荷が足らない方は以下のようなバリエーションを行ってください。
■腕立て伏せのさまざまな種類とやり方
■膝つき腕立て伏せの正しいやり方とフォームのコツ
●肩甲骨を寄せたまま動作を行う
膝つき腕立て伏せは、通常の腕立て伏せが数回しかできない、または、全くできないという方にも腕立て伏せ同様の効果が得られる低強度で簡単な自宅自重トレーニングです。その正しいやり方と動作のポイントは以下の通りです。
・動作の手順とポイント
①うつ伏せになり、肩幅程度に手幅をとり、膝をついて肩甲骨を寄せて構える
②膝を支点にして、上半身を下ろす
③この時に手・肘・肩が身体の動作方向と一直線になるように気をつける
④肘が90度前後になるまで身体を下ろしたら、肩甲骨を寄せたまま腕を押し出し、身体を元の位置まで上げる
⑤身体を押し上げたら、やや顎を引いて大胸筋を強く収縮させる
・女性のバストアップ膝つき腕立て伏せ
女性のバストアップ目的で行う場合は、男性の膝つき腕立て伏せとは手幅が異なり、やや狭く手を置くとともに肘をあまり横に張り出さないのがポイントです。これは、肩の筋肉・三角筋に対する負荷を減らし、大胸筋に負荷を集中させることが目的で、女性の場合はあまり三角筋に負荷をかけると肩幅がついてしまいますので注意してください。
・二の腕に効果的なダイヤモンド膝つき腕立て伏せ
二の腕裏側の筋肉・上腕三頭筋に対して負荷を集中させられるバリエーションが「ダイヤモンド膝つき腕立て伏せ」です。本種目は、手幅を狭くすることで大胸筋や三角筋に対する負荷を減らし、上腕三頭筋に負荷を集中します。
ただし、普通に手幅を狭くすると手首関節への負担が大きいので、これを避けるため、親指と人差し指で菱形を作って行います。
・膝上げ膝つき腕立て伏せ
大胸筋上部に対して強い負荷をかけられるのが、膝上げ膝つき腕立て伏せです。また、通常の膝つき腕立て伏せよりも強度が高いので、普通の腕立て伏せができるようになるための練習種目としても有効です。
■斜め腕立て伏せの正しいやり方とフォームのコツ
●肩甲骨を寄せたまま動作を行う
斜め腕立て伏せは、台などに手をつき、斜めになった状態で構える腕立て伏せのバリエーションです。通常の腕立て伏せよりも強度が低いため、同種目ができない方、特に女性や初心者にもおすすめのやり方になります。
また、腕を押し出す角度を、身体に対して斜め下方に構えることで、大胸筋下部に負荷をかけることが可能です。
・動作の手順とポイント
①台などに手をつき(手幅は肩幅よりやや広くする)、肩甲骨を寄せて構える
②息を吸い、肩甲骨を寄せたまま上半身を下ろす
③息を吐きながら腕を押し出し、元の位置まで身体を押し上げる
④息を吐ききり、やや顎を引いて大胸筋を強く収縮させる
・女性向きの斜め腕立て伏せ
こちらは、腕立て伏せが一回もできない女性の方などにおすすめのバリエーションで、身体を傾ける角度を45度程度にして行います。動作のポイントは先に解説した斜め腕立て伏せと同様です。
・高強度で大胸筋下部を鍛える方法
また、自宅で高負荷で大胸筋を鍛えたい場合におすすめなのが、こちらのような椅子を使ったディップスです。
■足上げ腕立て伏せの正しいやり方とフォームのコツ
●お腹を突き出さないようにする
足上げ腕立て伏せのポイントは「お腹を突き出さないようにする」ことで、これは、お腹を突き出してしまうとせっかくの大胸筋上部に効果的な軌道=腕を斜め上に押し出す軌道が失われるからです。
ですので、本種目ではどちらかと言えば、やや腰を曲げるくらいのフォームが効果的です。
・動作の手順とポイント
①床にうつ伏せになり、肩幅よりやや広く手をつき、足を台などの上に置いて構える
②肩甲骨を寄せ、お腹を突き出さないように気をつけ、やや腰を曲げた姿勢で身体を下ろす
③腕を斜め上に押し出すイメージ=身体を斜め後ろに押し上げるイメージで肘を伸ばす
④肘を伸ばしきったら、顎を引いて大胸筋を確実に収縮させる
・バランスボール足上げ腕立て伏せ
バランスボール足上げ腕立て伏せは、台のかわりにバランスボールの上に足を乗せて行うバリエーションです。
安定の悪いバランスボールを使って姿勢を制御するなかで、体幹インナーマッスルも鍛えられるというメリットがあります。
■ナロープッシュアップの正しいやり方とフォームのコツ
●手幅は肩幅より狭くしないようにする
ナロープッシュアップは、手幅を狭めることで大胸筋よりも上腕三頭筋に負荷を集中させる腕立て伏せの一種ですが、あまり手幅を狭くしすぎると、手首関節に非常に強い負担がかかってしまいますので、肩幅より手幅を狭くしないことが大切です。
・動作の手順とポイント
①肩幅程度に手幅を置き、背すじを伸ばして腕立て伏せの体勢を作る
②肘を後ろ向けに折りたたむようにし、脇をしめたまま肘を曲げて身体を下ろす
③肘を開かないように気をつけ、身体を元の位置まで押し上げる
・ダイヤモンドプッシュアップ
ダイヤモンドプッシュアップは、親指と人差し指でダイヤモンド型を作ることで、手首に対する負荷を軽減し、ナロープッシュアップよりもさらに狭い手幅で上腕三頭筋に負荷を集中させられるバリエーションです。
・ヒンズープッシュアップ
ヒンズープッシュアップは、ナロープッシュアップに前後方向のすくい上げるような動作を加えることで、より強度を高めるとともに、大胸筋に対して縦向きの刺激を加えられるバリエーションです。
■パイクプッシュアップの正しいやり方とフォームのコツ
●斜め後方に身体を押し上げる
パイクプッシュアップは斜め後方に身体を押し上げることにより、三角筋の作用である「腕を上に押し出す」軌道を作り出します。本種目でもっとも気をつけたいのが、肘関節が体幹の後ろ側に入らないようにすることで(肩関節への開き負荷を防ぐため)、これは、上半身を過剰に反らさないように気をつけることで防ぐことが可能です。
・動作の手順とポイント
①うつ伏せになり、大きく腰を曲げ、手幅は肩幅よりも広くして構える
②斜め前方に身体を下ろしていく
③肘の角度が90度程度になるまで身体を下ろす
④肘が体幹の前側になるように気をつけて、身体を斜め後方に押し出す
・足上げパイクプッシュアップ
こちらは、さらに強度の高い足上げパイクプッシュアップです。台の上に足を乗せることで、動作角度をさらにきつくして、三角筋により高負荷をかけられます。注意点などは通常のパイクプッシュアップと同様です。
・ハンドスタンドプッシュアップ
こちらが、逆立ち腕立て伏せ=ハンドスタンドプッシュアップの動画です。後半部分には脚を使って動作を補助するチーティング法も紹介されていますので、ぜひ、ご参照ください。
■片手腕立て伏せの正しいやり方とフォームのコツ
●身体の中心ラインに片手を置く
片手腕立て伏せは、片腕で動作を行うため、高負荷なだけでなくバランスをとるのも難しい種目です。筋力以前にバランスがとれないと上手くできませんが、バランスをとりやすくするためには、大きく足を開き、両足と片手で二等辺三角形を作るように、片手を身体の中心ライン上に置くことが大切です。
・動作の手順とポイント
①足を大きく開き、身体の中心線上に片手をついて、両手と片手で二等辺三角形を作って構える
②肩甲骨を寄せ、バランスをとりながら身体を下ろす
③肩甲骨を寄せたまま、元の位置まで身体を押し上げる
・ボールを使って練習すると効果的
片手腕立て伏せはバランスも大事ですが、絶対的に大胸筋・三角筋・上腕三頭筋の筋力が必要となる種目です。筋力が足らないのが原因で本種目が出来ない方は、動画のように片手をボールについて基礎練習を行っていってください。なお、負荷がかかるのはボールに置かないほうの半身ですので、そちらに意識を集中して動作を行います。
・無理をせず肘関節は90度屈曲まで
片手腕立て伏せは、とても強度が強いだけでなく、肩関節や肘関節にも強い負荷がかかる種目です。身体を下ろす深さは、「肘が直角になる深さまで」で行うことが安全面を考慮すると大切です。
■片足腕立て伏せの正しいやり方とフォームのコツ
●片足を身体の中心ラインに置くのがポイント
片足腕立て伏せは、足は一つで構えるため、バランスをとるのが難しい種目です。バランスをとりやすくするためのコツは、「足を身体の真ん中のライン上に置く」ことで、これにより両手と片足の二等辺三角形の三点確保で全身を安定させることができます。
・動作の手順とポイント
①手を肩幅より広く置き、手と足で二等辺三角形を作るよう、身体の中心ラインに片足を置く
②背すじを伸ばし、肩甲骨を寄せ、バランスをとりながら身体を下ろす
③肩甲骨を寄せたまま、身体を元の位置まで押し上げる
・一回ごとに足を変えるやり方
なお、こちらの動画は、通常よりもやや難易度が低い、一回ごとに足を替えるやり方です。片足腕立て伏せが上手くできない、という方はこのやり方からチャレンジしていってください。