【買うべきでない望遠鏡】性能は倍率ではなくレンズ直径で決まる

    一万円以下で売られている天体望遠鏡を、安価だからといって購入したものの、全く使い物にならない……というのはよく聞く話です。そうならないためにも、望遠鏡の基礎的な部分を解説します。

    ■最高倍率200倍!に騙されてはいけない




    安価に売られている天体望遠鏡は屈折式望遠鏡であり、また、最低ランクとしておすすめできるのも屈折式望遠鏡なので、本記事では屈折式望遠鏡に焦点を絞って解説します。

    なお、屈折式望遠鏡=ダメな望遠鏡ではありませんので誤解のないようにしてください。天体ファンの多くは安価な屈折式望遠鏡にはじまり、コスパの良い反射式望遠鏡を使い込み、最終的には高性能屈折式望遠鏡に戻ると言われています。

    話を元に戻します。

    ホームセンターや量販店で「最高倍率200倍!」などの売り文句で販売されている、一万円もしないようなコンパクトでカメラ三脚つきの天体望遠鏡を見たことがありますよね?

    それこそが、買うべきでない、いや、買ってはいけない天体望遠鏡です。

    上の図を見てください。

    望遠鏡の倍率は対物レンズ(図中1)の焦点距離÷接眼レンズ(図中2)で決まります。

    つまり、どんなに性能が悪くても、レンズ製品でありさえすれば接眼レンズの焦点距離を短くするだけで「いくらでも倍率は上げられる」のです。

    まして、接眼レンズの焦点距離を短くするということは、より屈折率の高いレンズを使用するということです。焦点距離の短い接眼レンズほど精密に加工する必要があります。

    少し精度の良いルーペ(接眼レンズと同じ構造)なら数千円ほどします。それを考えると、数千円できちんとした天体望遠鏡が作れるはずはありませんよね。最高倍率に騙されてはいけません。

    では、天体望遠鏡の性能とは何によって決まるのでしょう?

    ■レンズ直径比の二乗で性能は上がっていく




    天体望遠鏡の性能を一言で言えば、対象の天体をどれだけ詳細に見られるか、ということになります。それは言い換えると、どれだけ多くの光を集められるか、ということです。

    つまり、対物レンズの直径が大きければ大きいほど、天体望遠鏡はよく見えます。具体的には、小口径のレンズではいくら倍率を上げても土星の輪は本星にくっついてレモン型にしか見えません。そして、大口径のレンズでは低倍率でもくっきりと土星の輪が分離して見えます。

    なお、よく誤解されていますが、直径5cmの対物レンズと直径10cmの対物レンズの性能差(集光力)は倍ではありません。光を集める性能はレンズの面積に比例しますので、直径比の二乗、すなわち四倍の差があります。

    ■色収差を補正する性能




    素材がガラスでもプラスチックでも、レンズは光を通す透明な固体です。このため、レンズを通過する光は色による屈折率の違いで分離します。

    この色の分離=にじみのことを色収差といいます。天体望遠鏡の対物レンズは、この色収差を補正するために、屈折率の違う複数のレンズを貼りあわせた構造になっています。この補正が効いたレンズほど性能が高く、価格も同様に高くなります。

    色収差補正レンズには、二色に対して二枚のレンズ群で補正をしたアクロマートと、三色に対して三枚のレンズ群で補正をしたアポクロマートがあり、当然ながら後者のほうが高額になります。

    また、高級な屈折式望遠鏡には、色による屈折率のすくない特殊素材である蛍石(フローライト)を対物レンズに使用したものがありますが、数十万円から百万円ほどと、かなり高額になります。

    ■初めての天体望遠鏡の最低ライン


    最後に、初めての天体望遠鏡として買ってもよいと言える最低ラインのものを各メーカーからご紹介します。

    なお、天体望遠鏡はレンズ加工技術など、メーカーの技術差がそのまま性能にでます。国産天体望遠鏡メーカーとして一般的に国内認知されているのは以下のメーカーですので、ぜひ覚えておいてください。

    ビクセン・ケンコートキナー・ミザールテック・高橋製作所・ペンタックス・ニコン

    このほかに、ミードやセレストロンは国産メーカーが正規代理店をする海外ブランドなので安心です。

    各メーカーの天体望遠鏡として最低ラインの性能を備えたものは以下の通りです。









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